野鳥おじさん からのメッセージ



メッセージ #1

【頼田稔 著 「子から親へ 親から子へ」(エイデル研究所刊 1996)より引用】

鳩のつり糸救済活動について

私の鳩の釣り糸救済活動について、いくたびかマスコミにもとりあげられてきていますが、それらの方から「あなたにとって鳩とは何なのですか?」という意味の質問をよく受けます。

そんなとき、私は「人間性復活へのささやかな私の抵抗です。」と答える事にしています。事実、釣り糸にからまれた鳩たちの惨状は目を背けたくなるものがあります。

釣り糸が足にからみつき、深く食い入って発育を著しく阻害し、歩行も出来ないような奇形のものや、ときには足首のところからぷっつり切断されたものも少なくない有様で、釣り糸をからみつかせたまま必死にもがいているこれらの鳩を目にしたとき、私は激しいやり場の無い怒りがこみあげ、釣り糸をといてやりながらもこのような惨状に追い込んだ人たちの釣り糸の不始末さに対して責めるより先に、私たち同じ仲間の温かい生命への人間性の欠如にたいして恥じ入り、「鳩よ!ごめん、ごめん、許してくれな」と傷ついた鳩を抱きしめ、時には獣医の手当てさえもしてもらうことがあります。

最近では、これら鳩たちの被害は単に釣り糸だけでなく、凧の糸・花火のパラシュートの糸などと拡大されていく有様です。

しかし、鳩の被害はほんの一部にしかすぎず、私たち人間たちの自然の生物への侵害は日々のニュースでもご承知の如く枚挙にいとまがありません。これは、やがては地球上を覆いつくし、自然の生物はいうまでもなく、私たち人類絶滅のおそれさえ懸念するのですが如何でしょうか。

いまにして、私たちは人間一人一人がこのことに気づき内省し、温かい人間性の復活へ目を向けないと百年の悔いを後世に残すことになりましょう。

幸いにして、私の鳩の救済活動は、多くの人々の共感と賛意を頂き、その活動の輪が広がりつつある事はこのうえもない喜びであります。なにとぞ、皆さん方も私達の意のあるところをお汲み取り頂き、ご協力のほどお願い申し上げるものです。

松阪龍起


メッセージ #2

【以下の要望書は西宮市に提出された】

西宮市土木局下水道建設部長 様

高座町住宅街の一画に位置する貯水池、新池は、六甲山を一望のもとに見渡せる素晴らしい景観で、池の周りには、遊歩道も完備され散策コースに、ジョギングにと、地元住民の憩いの場所として親しまれています。春から夏にかけては、カルガモが小さな雛を引き連れて泳ぐ姿や、背中に雛をおんぶして泳ぐカイツブリのユーモラスな姿を見ることが出来、散歩中の人々もどれだけ心に安らぎを覚えられた事でしょう。

しかし毎年夏になると池の周辺には悪臭が立ち込め、水面はドロドロしたアオコに被われ、ついに昨年にはカルガモ達に異変が起き、次々と変死してしまいました。死因はアオコに有毒な物質が発生したせいであると新聞にも報道されました。この事件で私たちはこの池の水が極限状態にまで汚濁されていることを思い知らされました。カルガモ達は「もうこれ以上水を汚さないで!」と悲痛な叫び声を上げて死んでいったのではないでしょうか。人間も自然の一員である限り、野生動植物の今日の姿は、人間の明日の姿であると言えるかも知れません。

従来、新池の主な役割は、治水、利水、の流水機能に重きを置かれていたと思われますが、自然環境の大切さが叫ばれている昨今、この池に、もう少し自然を取り戻したい、何とかこの水をきれいにする方法はないものか、という思いにかられている人々は決して少なくない筈です。

近々、新池周辺地域の下水道も完成されるとの事で、徐々には水質も改善されるでしょう。しかし現在の新池は、水辺はコンクリートで固められ、植物の生える余裕も無く、殺風景なため池状態です。

今般、新池の中洲を復元して頂くに当って、又と無い機会ですので水辺に緑を取り戻して、積極的に水質の改善を計り、さらには散策に訪れる近隣の人々の目を楽しませる事にもなり、花の咲く水辺の草木を植栽すれば、ただのため池ではなく、都市公園としての効用も高まり、より多くの方々に利用され、喜ばれるものと考えます。

そこで、以下の事を要望致しまして、上松部長様始め、関係各位の方々のご厚情ある善処をお願い申し上げます。

− 記 −


(1)中洲の直径を従来より1m広げ、水辺に「ヨシ」や「ショウブ」を植栽。

(2)中洲の外側の水深10cmの位置に、幅50cmの沈み段を作り、花の咲く「ショウブ」や「キショウブ」を植栽。

なお、鳥の糞害問題云々について、「日本野鳥の会兵庫県支部」普及部の飯田肇さん(西宮市在住)にお聞きしました処、「カモ類の習性として民家の屋根や庭に降りる事はまずありませんし、又、サギ類についても、池の周囲が遊歩道なので隠れる場所も無く、池も小さいし、浅瀬の少ない地形上、多くのサギ達が採餌に集まる事はないでしょうから、鳥の糞害については問題にならないでしょう。」とのことでした。

西宮市環境計画(環境保全課1994年、9月発行)によりますと、「水環境の保全と創造」という項目の中に、「河川の水質の改善、水量の確保、自然浄化力の再生を図り、生き物が生息する、市民が親しめる水辺空間を整備します」とあります。この冊子に書かれている計画を、是非実現して頂きたく、重ねてお願い申し上げます。

1996年9月

西宮市里中町 松阪龍起

西宮市広田町 土屋睦子



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