報道にみる野鳥おじさんの活動 (1998 〜 2000)

  • 『衰弱したハト保護』  毎日新聞 '98. 2. 23

    尼崎市の県立西武庫公園で、左足にプラスチック片を取り付けられ弱っているハトが22日、保護された。松阪さんが15日に見つけたが、その時仲間からも避けられ、脅えきっており、近づくと飛び上がって逃げ、当日は保護できなかった。1週間後の22日エサを取ることもできず弱っているところを保護した。足に付いていたのは、食パン包装の閉じ口につけられるツメつきのプラスチック。すでに、足の肉に食い込み、はれ上がっていた。

  • 『不自由な体で長い旅』  毎日新聞 '98. 3. 3

    西宮市の武庫川べりに一昨年12月飛来した両足とも指がないユリカモメが、この冬も元気に渡ってきた。二冬続けて松阪さんはその姿を撮影した。松阪さんが一昨年12月、立っているのが精一杯のこのユリカモメを見つけ「この冬を越せないのでは」と心配しながらシャッターを切った。そして今年1月にも同じ様なユリカモメが。2枚の写真を松阪さんは偶然と思っていたが、講演先の生徒が「あれ、同じ鳥や」。専門家に見せたところ、同じユリカモメと分かった。手当をした獣医師も「太っているし元気そう。よく頑張って渡ってきたものだ」と驚いている。

  • 『哀れ 平和の使者』  毎日新聞 '98. 5. 20

    首に輪ゴムをかけられたハトを今月15日、西宮市の上田西公園で散歩していた近くの主婦、大和田まゆみさん親子が見つけた。近くにいた松阪さんが捕獲。大和田さん親子が輪ゴムを外して放してやった。輪ゴムをつけたハトは公園に10羽いた群から少し離れたところで、じっとしていた。幸い、大きなダメージはなく、輪ゴムを外してやると、元気にはばたいていったという。松阪さんは「ゴールデンウイーク後の5月には、いたずらされた鳥が目立つ。困ったものだ」と話している。

  • 『不届き釣り人よ』  毎日新聞 '98. 10. 23

    西宮市の海岸で22日、脚と口から釣り糸を垂らしたセグロカモメが見つかった。松阪さんが動物病院に運んだが、傷が深く、治療は難しいという。X線撮影の結果、針が食道の奥深く刺さり、手術は困難な状況だった。とりあえず点滴をして、様子を見ている。松阪さんは「何の気なしにした行為がこんな結果を生む。釣り人にはごみを捨てないでもらいたい」と憤りを隠せない様子だった。

  • 『釣り糸で宙づり ハト無残』  毎日新聞 '98. 11. 25

    西宮市戸崎町の武庫川にかかる国道2号武庫川大橋で、端から釣り糸に引っかかった状態で宙づりになったハトの死体が見つかり、22日、同市環境保全課員らが除去した。川に遊びに来ていた親子連れがハトを発見。「かわいそう。外してあげて」と松阪さんに伝えたのを、松阪さんが市に知らせた。ハトの首には釣り糸がからまって、死んでしまったらしい。松阪さんによると、ユリカモメが釣り糸の被害にあう例がこの秋も相次いでおり、「釣り人は、せめてゴミは持ち帰って」と訴えている。

  • 『14年前の足輪発見に感慨』  朝日新聞 '98. 12. 5

    冬の渡り鳥が各地の水辺に姿を見せている。西宮市の武庫川では、14年前の足輪をつけたユリカモメが見つかり、「寿命など不明な点が多いユリカモメの生態を知る上で貴重な発見」と注目している。このユリカモメは松阪さんが11月下旬、同市戸崎町付近の武庫川で見つけた。黄色い足輪に黒い文字で「L5」と記されており、日本鳥学会の須川恒さんに照会。1984年4月に京都市内の鴨川で18羽のユリカモメにつけたものの一つと分かった。「L5」は「83年夏生まれの雌。体長280ミリ、体重275グラム」と記録されていた。これほどの年月を経て足輪付きのユリカモメが見つかるのは珍しい。

  • 『実物で釣り糸被害学ぶ』  毎日新聞 '99. 1. 23

    1月22日、松阪さんは武庫川の河川敷で西宮市立段上上小学校の先生たちに被害について話をした。同小は児童に武庫川の自然調査をさせるなど地域の環境の教育に力を入れており、野鳥の生態に詳しい松阪さんに学ぼうとお願いした。先生20人は、放課後河川敷に集合。松阪さんは事前に捕獲していた足に釣り糸やビニールひもが絡まったハト3羽を見せた。そして先生にそれをハサミで切ってもらった。中には足の指がとれたハトもいて、先生は「子供たちにこのハトの話を教えてあげなければ」などと話していた。

  • 『翼を返して 近くにエアガンの箱』  毎日新聞 '99. 2. 8

    西宮市武庫川町付近の武庫川で7日、翼の折れたユリカモメ3羽を松阪さんが見つけ、そのうちの1羽を保護した。保護された1羽は水際を歩いていた。右側の翼が中央から2つに折れ、骨がのぞいていた。残り2羽は、人を警戒して川の中央付近を泳いでいるが、かなり弱っている様子で、懸命に羽を広げ羽ばたくものの、飛び立てないでいる。エアガンの箱は阪神武庫川駅の橋脚のあたりで見つかり、中身は空で「パイソン375マグナム・6ミリBB弾使用」と書いてあった。松阪さんは「武庫川の野鳥を10年以上観察しているが、一度に3羽も負傷した鳥を見つけたのは初めて。いたずらだとしたら、あまりにもむごい」と怒っている。保護した1羽は獣医に治療してもらい、残り2羽も西宮市に協力を頼み、早めに保護したいという。

  • 『ユリカモメ元気回復』  毎日新聞 '99. 3. 3

    西宮市立小松小の児童約20人が2日、松坂さんと一緒に、けがが治ったユリカモメを武庫川に放した。児童らは「頑張ってね」と声をあげていた。ユリカモメは先月7日、松坂さんが同川で翼が折れて飛べなくなっているところを保護。動物病院で治療していた。近くにエアガンの箱が落ちており、いたずらの可能性もあった。

  • 『生き抜いて三たび飛来』  毎日新聞 '99. 3. 10

    武庫川に、両足ともに指がないユリカモメが、また、やってきた。最初の発見から3冬連続の渡り。毎冬見守ってきた松阪さんが先月下旬、大空を羽ばたく元気な姿をカメラに収めた。松阪さんが最初に、このユリカモメを発見したのは、1996年12月。飛ぶことはできるが、地面に降りると立つのが精いっぱいで、「どうやってエサを食べるのだろう。生きていけるのか?」と冬が来る旅、気にしていた。

  • 『阪神支局襲撃事件から12年』  朝日新聞 '99. 5. 4

    朝日新聞阪神支局襲撃事件から満十二年になった三日、西宮市与古道町の阪神支局の拝礼所に訪れた市民らは怒りと悲しみをあらたにした。小尻記者が書いた記事をきっかけに十二年前に結成された「釣り糸から野鳥を守る会」の会長の吉川恵子さんと松阪龍起さんは、足に釣り糸が絡まった三羽のハトを持参。支局の駐車場で意図をほどいて大空に放った。

  • 『市民ら追悼の催し』  毎日新聞 '99. 5. 4

    凶弾に倒れた小尻記者ゆかりの市民らが尼崎市で追悼の催し「青空表現市」を開き、支局を訪れ手を合わせた。「21世紀に平和憲法を」と題した講演の後、歌や落語、漫才、日舞などが演じられた。一方、朝日新聞阪神支局に設けられた拝礼所には、ネクタイを緩めた笑顔の小尻さんの遺影が掲げられ、弔問客が先行や花を手向けた。「釣り糸から野鳥を守る会」のメンバーは、小尻さんをしのび、平和を願うために、保護したハトを支局前で放した。メンバーの松阪さんは「事件を風化させてはいけない」と語気を強めた。

  • 『冬の使者 優雅に昼寝』  毎日新聞 '99. 11. 2

    西宮市の鳴尾港や香櫨園に冬の使者、ヒドリガモなどの渡り鳥が姿を見せ始めた。松阪さんが先月28日に香櫨園浜で数百羽の群を確認した。ヒドリガモを中心に、コガモ、オナガガモ、マガモなどが海面で優雅に昼寝。松阪さんによると、例年10月初めくらいから姿をあらわすが、今年は遅め。同じ渡り鳥の代表格であるユリカモメもまだ、姿を見せていないという。

  • 『カモと仲良し 珍客アヒル』  朝日新聞 '99. 11. 3

    夙川河口で、冬の到来を告げるヒドリガモやコガモなどの渡り鳥の群に、真っ白なアヒルが交じっているのを、西宮市の北川壮二郎さんが写真に収めた。特に、一羽のカモと仲が良く、群から離れて二羽だけで、つがいのように寄り添って泳いでいるという。松阪さんによれば、このアヒルは九月頃から姿を見せるようになり、お相手はカルガモだという。松阪さんは「アヒルは野生ではまずいないですから、どこかで飼われていたものが逃げてきたのか、大きくなりすぎてすてられたのか・・・。珍しいですね」と話している。

  • 『少々遅れて ユリカモメ』  朝日新聞 '99. 11. 7

    この冬もよろしく---。武庫川と夙川河口に、冬の渡り鳥ユリカモメがやってきたのを松阪さんが確認した。見つかったのは、六日に武庫川で約百羽、夙川河口で五十羽ほど。暖かかったためか、例年より一ヶ月ほど遅いという。

  • 『ユリカモメと感激の再会』  朝日新聞 '00. 1. 4

    西宮市の武庫川河川敷で、生態研究用の足輪を付けたユリカモメ一羽が飛来しているのを松阪さんが大晦日に見つけた。このユリカモメは1984年に鳥類研究者が京都市内の鴨川で足輪を取り付けた18羽の中の1羽で、推定年齢は16歳。平均寿命が5,6年と言われるユリカモメの寿命などを解明するうえで貴重な発見である。松阪さんがこの「L5」と記した足輪をつけたユリカモメに最初に出会ったのは98年11月下旬で武庫川。今回も同川河川敷で、エサに近寄ってきた十数羽のユリカモメの群れを300ミリ望遠レンズで覗いていたところ、足輪が目に入った。「L5」は約20分間松阪さんから5メートルのところに留まっていた。松阪さんは「再会を意識していたくれたのかも知れません」と嬉しそうだ。

  • 『ルアーが刺さったユリカモメ保護』  毎日新聞 '00. 1. 9

    松阪さんはこの日午前11時半頃、武庫川の岸近くでもがいている体長約40センチのユリカモメを発見。ルアーや釣り糸が絡まっており、松阪さんが川に入って保護した。獣医師が観察したところ、ルアーがくちばしと左羽に突き刺さっていた。幸い、針は羽の血管に刺さっておらず、釣り糸を外すと、ユリカモメはすっかり元気に。松阪さんは「発見が早くて良かった。何気なしに捨てた釣り糸や針は、動物にとって危険な存在になることを知ってほしい」と話していた。

  • 『右足失ったユリカモメ』  朝日新聞 '00. 2. 17

    松阪さんが西宮市大浜町の夙川河口で右足を失ったユリカモメを見つけた。「人間が捨てた釣り糸などが原因かもしれない。片足ではエサが取りにくく、春にシベリアまで飛ぶだけの十分な栄養を蓄えることができるだろうか」と心配している。このユリカモメを見つけたのは十日。素手で捕らえ、市内の動物病院に持ち込んだ。右足は付け根の約2センチを残して、水かき部分などが失われていた。

  • 『待つ』  朝日新聞 '00. 2. 24

    不況の冬、職がないせいか釣り人が増えたようだ。糸を垂れ、獲物のかかるのを「待つ」が、釣り上げた魚は汚染で食べられないから川にかえす。都会の河川は両岸コンクリート固めで、鳥もまたえさ探しに苦労しているようだ。釣り人のおこぼれにあずかろうと、周囲でじっと「待って」いる。両者の待つ姿に、とある感慨を覚えてしまった。

  • 『冥福祈りハト放つ』  讀賣新聞 '00. 5. 4

    「釣り糸から野鳥を守る会」の吉川会長ら3人はこの日、西宮市与古道町の朝日新聞阪神支局の拝礼所で、小尻記者の冥福を祈った後、同市の武庫川河川敷で保護したハト2羽を同支局前で放した。会結成のきっかけは、小尻記者が86年2月に書いた記事。ハトの足に釣り糸が絡みつき、命まで脅かされている実状を訴えた記事を読んだことから。吉川会長は「暴力で言論の自由を奪った、絶対に許せない事件。13年がたち、記憶も風化した感があるが、何としても犯人を捕まえてほしいという気持ちでいっぱいです」と話した。

  • 『冬の使者、到来』  朝日新聞 '00. 10. 19

    冬の渡り鳥、ユリカモメやオナガガモなどが今年も、阪神間の水辺にやってきた。松阪さんが確認した。飛来の時期はほぼ例年並みだが、暖冬だった去年よりは二週間ほど早いという。松阪さんは「これからまだまだ増える。今のところ傷ついた鳥はいないが、毎年、釣り糸などの犠牲になる鳥がいる。シベリアやカムチャツカ方面からはるばるやって来た鳥たちが来春、また渡っていけるよう、釣り糸や針は捨てないでほしい」と呼び掛けている。

  • 『この冬のあえたね、ユリカモメの「L5」』  朝日新聞 '00. 12. 5

    京都・鴨川で16年前に生態研究用の足輪を取り付けられた渡り鳥のユリカモメが、今年も西宮市の武庫川に飛来しているのを松阪さんが見つけた。98年冬に武庫川で同鳥を確認して以来、これで3年続けての対面を果たした。L5は83年夏生まれの雌で、体長28センチ、体重275g。昨年12月にも武庫川で元気な姿を確認。今冬はこの3日、西宮市戸崎町の武庫川で約200羽の群れの中にいるのをカメラで撮影していて偶然見つけた。

  • 『足にルアー針、鳥見つかる』  朝日新聞 '00. 12. 28

    武庫川の中州で、釣り客が捨てたルアーや釣り針が足に刺さった水鳥を、松阪さんが見つけた。松阪さんは「このままではえさをとることもままならずに、弱ってしまうのではないか」と心配している。武庫川大橋から上流へ約百五十メートルほどの中州で21日、ユリカモメの生態調査に出かけて見つけた。松阪さんによればカワウだという。動きが少なく、元気がない様子だったため、双眼鏡で確認すると、左足にルアーが、右足に釣り針が刺さっているのが分かった。



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