メラノーマ

メラノーマ(悪性黒色腫)



メラノーマは雑誌やTVなどで頻繁に取り上げられるため、ほとんどの人が怖ろしい病気として理解しているようである。確かにあらゆる癌のなかでも最も悪性度が高く、致死率も高いのも事実だが、実のところ非常に希な癌であり、過度の心配は無用である。

【症状】
メラノーマ(melanoma)は、その形や色などによって、いくつかのタイプに分類されている。

・悪性黒子型 --- 高齢者の顔などの露出部の色素斑
・表在拡大型 --- やや盛り上がった不整型の色素斑
・結節型 --- 盛り上がるタイプ
・末端黒子型 --- 手や足から発生するタイプ
・粘膜型 --- 口腔や陰部などの粘膜に発生するタイプ
・メラニン欠乏性 --- 色素を持たないので発見されにくい

このようにいろいろなタイプがあるものの、それぞれに対応した良く似た良性腫瘍が多数存在して、悪性か良性かは肥えた目で見ないと事実上判別が不可能であることが多い。しかし一応判別の目安は存在する。足の裏などのホクロの場合、一般に、大きさが5ミリ以下であればほとんど心配はないが、7ミリ以上では要注意と考える。大抵のホクロはそんなに大きくはない。ただ、数カ月以内に急速に大きくなったり、出血するようになったり、色調に異変(色の滲みだし)などが認められた場合は悪性化の兆候の可能性があり、皮膚科医による診断が必要となる。

【治療】
原則的に外科手術が行われる。通常は腫瘍辺縁より数センチメートル離れた正常皮膚を含めて切除する。足の裏であれば下肢の一部を切断を行うこともあるが、それは腫瘍の大きさなどによる。その他、化学療法や免疫療法なども併用される。近年では予後は改善されてきており、必ずしも悲観的ではなくなった。

但し、メラノーマの可能性が示唆される場合は、決してその部分を針でつついたりメスで切り込みを入れたりしてはならない。それだけの刺激でも癌細胞を拡散してしまう恐れがある。

【解説】
いわゆる「ホクロのガン」などといって怖れられるメラノーマであるが、必ずしもホクロから発生するわけではない。皮膚にはメラニン色素を作るメラノサイトという細胞があり、厳密に言うとメラノーマというのはこれが悪性化したもので、ホクロの細胞そのものから発生するのではない。このメラノサイトは全身に広く分布しており、ホクロだけに存在するわけではないので、どこからでも発生しうる。もっとも、ホクロから発生する確率は少し高いらしいことはわかっている。

原則的に全身どこでも発生しうるメラノーマであるが、やはり足の裏は多い。体重を狭い面積で支えるという過酷な条件が関わっているらしいとは想像できるが、本当の原因は良く分かっていない。しかしながら、確かにメラノーマを統計的に検討すれば足の裏のホクロからの発生が多いかもしれないが、足の裏のホクロ全体からみれば、メラノーマの発生確率はほぼゼロに等しい。もともと極めて希なガンであり、胃ガンや肺ガンなどとは較べようもなく少ない。

ただ、一旦発症すると進行が早いので恐怖感が強いのは否めない。これは頻度の高い自動車人身事故よりも、非常に希な航空機事故をより強く怖れる心理にも似ている。どうしても気になるホクロがある場合は、簡単な手術なので、精神衛生上の理由から切除しておいた方が良い場合もある。


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