タイムワープ:方法




Population, approximately nine billion... All BORG... ! (ST8: First Contact)

TVシリーズ、映画を通してタイムトラベルやタイムスリップ(総じてタイムワープと呼ぶことにする)が何度も出てくる。どのエピソードも見かけ上のパラドックスが生じないように、同一人物が同時に複数存在しないように一応配慮されている("First Born" [TNG]や"Endgame" [VGR]などは例外)。
タイムワープの実現には、ワープエンジンを用いる方法、時空トンネルの形成による方法などがある。

なお、タイムワープに伴う論理的矛盾については、タイムワープ:因果律問題の項を参照。


ワープエンジンによる方法

スコットの助言によりカーク船長が最初に用いた方法で、恒星の重力場を利用する方法 (sling shot effect) ("Assignment: Earth" [TOS])。
惑星系の中ではワープに移行することは禁じられているのだがその理由としてはまず、生命体に強力な亜空間フィールドが与える致命的ダメージを避けるということが挙げられる。しかし別の理由もあるのである。
かつて USS Enterpriseは小惑星地帯でワープを敢行し、人工的にワームホールを作ってしまったことがあった (ST1)。ワープエンジンは重力場を嫌う。ワープに必要な亜空間フィールドと重力場とは相互抑制関係にあるが、単に直線的な抑制関係だけではなく、時空に複雑なねじれをもたらす。この奇妙な特性を逆に利用してタイムワープを実現するのである。

現在でも惑星探査機の速度を上げる方法として木星の重力を利用する方法が用いられている。探査機を木星に向かって飛行させ、ぎりぎりまで近づいてから離脱すると、結果的に木星の強い引力で加速されたまま飛び出す。ワープエンジンを利用したタイムワープでは、速度を上げるのが目的ではないが、結果的に似たコース(双曲線コース)をとる。

タイムワープするには、十分離れたところからワープエンジンを起動させて恒星に真っ直ぐ向かう。恒星による重力の井戸に強い亜空間フィールドを維持しながらワープ速度で接近し、恒星表面ぎりぎりで迂回するようにコースをセットする。ワープ速度、亜空間フィールドの位相、接近・離脱の角度、最接近の距離、恒星の質量、表面磁場や自転の影響などを計算・調節しながらタイムワープするものと思われるので、極めて高度のテクニックが必要だ。また、ワープエンジンは基本的に直進しかできないため、スラスターが正常に作動せず、コースから外れれば失敗する。

この手法が使われたエピソードには"Assignment: Earth"[TOS]、"Tomorrow is Yesterday" [TOS]、ST4: The Voyage Homeがある。


時空トンネル形成による方法

●ボーグはクロノ粒子(chronometric particles)という不思議な粒子によって時間の渦を発生させる方法を開発したらしい。彼らは宇宙船(Borg Sphere)からこの粒子を噴出させて特殊なフィールドを作り2063年4月4日にタイムワープした。Enterprise-EBorg Sphereを追尾してこのフィールドの内部に留まり、過去の地球に到着した (ST8: First Contact)。

●29世紀の宇宙艦隊は Time Shipという小さなシャトルでタイムワープをする技術を持っている。時間を移動できるばかりでなく「歴史」をスキャンすることすらできる。連邦の時間航行船イーオン号は、小さなシャトルだったにもかかわらず、強力な重力場を発生して時空の裂け目を人工的に作り、29世紀から24世紀に現れた("Future's End" [VGR])。

●ジェインウエイ提督は、シャトルから多量のタキオン粒子を宇宙空間に放射して時空トンネルを作り、30年の時間と数万光年の距離を飛び越えることに成功した。ただし、そのためには高レベルのタキオン照射に耐えるための薬物(クロネクサリン)と、シャトル内部の時間を安定させるためのクロノ・ディフレクターの開発が必須であったようだ ("Endgame" [VGR])。

●"Yesterday's Enterprise" [TNG]では、Enterprise-Dは22年前の Enterprise-Cと対面した。これは、当時のロミュランとの激しい交戦により、光子魚雷やディスラプターなどの高エネルギーが狭い宙域に集中したために時空の捻れ(時空トンネル)が偶発的に発生したためであった。この捻れにより、現在の Enterprise-Dも Enterprise-Cの時空に引き込まれた形となり、複雑な展開となった。タイムワープするには、ただトンネルを通ればよい。しかしこのトンネルは時空の修復後は姿を消したばかりか、歴史上からも消滅した。すなわち、「存在しなかった」のであった。当然宇宙艦隊の公式記録にも残らなかった。


エイリアンによる未知の方法

●デビリア人は、我々の宇宙とは何分の1秒かだけずれた時空に住んでいるために、我々は直接には認知出来ない。彼らは、宇宙船を使わない簡単な方法でタイムワープする能力を持っている。詳しい説明が無かったので、詳細は不明。杖に仕込んだ小さな装置で、自由に時間を行き来できるらしい ("Time's Arrow" [TNG])。

●ベイジョー星系にあるワームホールに棲む無形の生命体(預言者)は、時間も空間も自由にできる。我々からみれば驚異の存在であることは疑いないが、彼らからみれば、一つの時空平面にへばり付いている我々の方が不思議な生命体のようである ("Emissary" [DS9])。

●Q連続体もまた、時間の束縛から解放されている。驚くなかれ、宇宙のビッグバンの瞬間にまで到達できる ("Death Wish" [VGR])。

●クレニム人は、巨大な戦艦 (Krenim temporal weapon ship)から、とてつもなく膨大な時空エネルギーを放出し、歴史の改変を行っていた。一撃で一つの星系全体の歴史を改変することができたが、気に入らない過去の歴史の瞬間に介入したからといって、自分たちにとって都合の良い歴史に改変することは無理であった ("Year of Hell" [VGR])。




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