人工重力




人工重力の技術ができる以前の21世紀では、宇宙船内の円筒形シリンダーを回転させて、その内部に居住するという原始的な方法が取られていた。クルーは、数十年のミッションの間、その中での生活を余儀なくされたのである。しかしその後、重力でさえも人間の英知の軍門に下ったのだ。

人工重力はトラクタービームと同様、人工的に作られている。重力は居住区全体に供給される。人工重力は『環境重力』で、艦内の全ての物体に作用させる必要がある。この点、トラクタービームとは異なる。

トラクタービームは特定の物体を引っ張るのには都合がよいが、全艦的な重力発生には不向きである。これは非常に指向性の高い重力子流(グラヴィトンビーム)で、通常小さな物体を引っ張る(例えば Enterpriseがシャトルを引っ張る)ために用いられる。【まれに小さなシャトルが大きな戦艦を引っ張ることもある ("Emissary" [DS9])。重力子とは、重力を媒介するといわれる粒子、未発見である】

人工重力は直径50cmくらいのジャイロのような装置が、超高速回転するときに発生する重力波から得られる。このような装置(Stator)が Enterprise-Dには800個配置されており、これらを複雑に連結させて艦内の重力を安定させている。

基本的にジャイロ、またはフライホイールのような装置なので、ワープエンジンのように常に動力を必要とするわけではない。ゆえに、主動力(Electro Plasma System)がダウンした状態でも、重力発生装置は最高240分の間重力を維持できる。但し能力は 0.8gに落ちる。--RS/MO Tech Manual

攻撃されて主動力が止まっても、無重力にならないのは、このためである。

しかし、人工重力装置だけでは基本的な重力しか提供されないので、航行に伴って生ずる慣性などを打ち消すためには別のシステムが用意されている。通常エンジンによる航行では、大きな加速度が船全体に加わるため、慣性制動システム (Inertial Damping System)が低レベル亜空間フィールドと重力場の組み合わせによって艦内の物体や人間を守っている。ところがこのシステムは緩やかな計算された加速度に対しては効果的だが、不意の攻撃を受けた場合や、未知の物体と衝突した場合などの瞬間的な衝撃を吸収することができない。

なお、ワープ航法に入るときは船には加速度は掛からない。船は"静止"しているのだ。亜空間フィールドで包んだ船ごと瞬間にスライドするからである。【ワープエンジンの項を参照

クリンゴンの人工重力は連邦とは異なる方式らしい。クリンゴン戦艦は主動力を狙い撃ちされたとき、即座に船内重力を失った(ST6)。反重力ブーツ(23世紀より使われている便利な靴。山登りには必須)のような仕組みなのかも知れないが、詳細は不明。



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