非常時燃料補給



連邦船艦の動力は、通常エンジンは重水素・重水素核融合反応、ワープエンジンは重水素・反重水素の対消滅反応から得ている。

何れにしても”燃料”は重水素であり、冷却してタンクに蓄えられている。燃料補給は、通常は宇宙基地やタンカー船から行うのであるが、何らかの理由によりそれが不可能である場合は、自分で燃料を採取することができる。

燃料となる水素(重水素)は宇宙空間、特に銀河系円盤内部では豊富に存在(1立方センチあたり1分子ほど)している。船の燃料が枯渇した場合は、宇宙空間から採取するのである。


ワープエンジンはバザードラムスクープにもなっている。バザードラムスクープとは、来るべき恒星間宇宙旅行の方法として20世紀にバザード博士により考案(1960)されたもので、超伝導コイルを使って強力な磁場で宇宙船を囲み、イオン化した水素原子などを船の進行に従って磁極部分に追い込む方法である。集めた水素などは、核融合推進エンジンの燃料として利用するのである。いわば、燃料の現地調達である。この方法ならば、トラブルにさえ陥らなければ、どんなに遠い恒星であっても時間さえかければ到達可能である。24世紀にはワープ航法があるので、このような原始的な方法は通常の飛行には用いられないが、燃料補給の方法としては有効である。

ワープエンジン全体が強力な磁場を発生し、ワープエンジンの先端が磁極になっている。またそれを補助すべく、デフレクターシールドも力場の形を整える。船が高速で飛行すれば、それだけ”燃料”は多く採取できる。ただ、効率よく採取するためには、有効磁場断面積は惑星ほどの大きさにする必要がある。

宇宙空間にある燃料は、イオン化しているとは限らないため、船の前方にビームを照射して強制的にイオン化させ、採取後は電場を通して中性化させる。採取された原子、分子は分別装置に送り込まれて、種類別に蓄えられる。

この採取方法を反転して、燃料として搭載している重水素/水素を、ワープナセルの先端から前方へ放出させた事もある ("Night Terrors" [TNG])。

船内には、電子と陽子の電荷を交換して反物質を作る装置が搭載されており、採取された重水素の一部は変換されてワープエンジンの燃料として利用可能となる。

なお、採取される燃料のほとんどが水素であり、水素・水素核融合を起こせばエネルギーを得ることは出来るが、得られるエネルギーは極めて小さく、核融合としては効率が悪い。ただその際、重水素と陽電子が得られるので、その重水素を再利用するのかもしれない。

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